一般社団法人 現代工芸美術家協会

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TOP > 展覧会情報 > 第64回 日本現代工芸美術展 授賞作品・授賞理由

展覧会情報第64回 日本現代工芸美術展

授賞作品・授賞理由

内閣総理大臣賞

宙光季-2026

山本 清【木】

氏は長年に亘り、「宙光季」というテーマのもとに作品を制作している。
限りない宇宙、自在に行きかう光、支配する時間。木と金属それぞれの特性を生かして、太陽と惑星、はたまた大銀河。広大にして神秘なる大宇宙への想いを、絶妙なバランスのありようの内に、象徴的な造形として表現した優作である。

文部科学大臣賞

布袋葵の夏

西片 正【金属】

題名のホテイアオイは、夏の朝に開花し、夜には萎んでしまう薄水色の真夏の妖精花である。 硬い鋼板を鍛金技法の優れた技力で、水に浮ぶホテイアオイの和らかさ、植物の生命力、儚さを表現している。経験と熟練した技力を持つベテランの作者ならではの作品である。 さらにかわいらしさとやさしさを感じる人間性豊かな優秀作である。

東京都知事賞

Combination

手銭 吾郎【金属】

本作品は鍛金技法である変形手絞り技法と箆絞り(スピニング)を用いて造形した作品である。
その回転体特有な造形と人形の形態を「組合せ・接合」する事で出来た鍛金作品であり、彼独特の表現方法となっている。頭部の一枚手絞りとスピニングの違いも分かりやすく造形的にも優れた作品であり、現代を感じる優秀な作品となっている。

NHK会長賞

緑光の花譜

石原 真理【染】

伝統的な真糊(糯(もち)糊)を使用した本友禅染による内容が深く完成度の高い秀作である。
無患子の木を中心に上下の空間のコントラストを効果的に画面構成している。そのことによって小気味よく配置された白い花が魅力的で、タイトルの「緑の花譜」をイメージさせる素晴らしい表現となっている。

現代工芸理事長賞

月夜のみちびき

辻 宏美【染】

暗闇の中に春の光がある。静かな春の月にみとれ導かれ、春の心で美しさや切なさを感じる。日本の「花鳥風月」と「余白の美」を意識しながら加賀友禅の技法で表現した上品な優雅な作品である。

審査員特別賞

環る

橋本 昇三【紙】

ある時は荒れ、またある時は穏やかな大海の表情を手漉きの小原和紙で作品にした。
万物は時と共に形を変え流転するという作者の思想を、高い技術と表現力で具現化した秀作である。

現代工芸本会員賞

萌芽(マタイ 6-28)

天谷 理彩【染】

季節と共に芽を出す花。美しさと強さを魅せてくれる自然の営みに、魅力を覚える一頁を作品に託した秀作である。染色の持つ透明感は、花の持つ力強さを観る者に感動を与えてくれる。染色の美しさを抽象表現でもって描いた作品は、完成までの制作過程の道筋が観る者の心に感動を与えてくれる秀作である。限りある技法で、いかに魅力ある作品に仕上げるか、その過程が観る者に伝わる作品である。

現代工芸本会員賞

世憂の時

小口 隆史【複合素材】

戦争や不安定な気候など、不穏な空気が漂う現在。
今の建築に使用される複合素材を用い、平和を願いつつ制作した画面は、立体感に溢れ、秀逸である。表現されている鳥は、平和の象徴鳩であろうか、平和を願う作者の思いが溢れる作品である。

現代工芸本会員賞

たなびく

何 穎斯【紙】

山あいの空にたなびく雲の流れを、和紙による造形に思いを込めて創り上げている。
湧き上がり、風に流され、重なったり離れたりしながら、大空にダイナミックに表出される自然の景のおもしろさを、紙という制限の多い素材を自在に使いこなし、表現する力量は確かである。生れ育った母国への郷愁も心に去来しているかのようだ。

現代工芸本会員賞

穏やかに そして・・・

二宮 祐子【染】

ろうけつ染のやわらかな色調を高い技術で昇華している。大胆な二色展開は、圧倒的な強さを発揮した。
自然災害、人為的災害。今現在の世界中の悲鳴を、赤色のもつ力強さや華やかさで打ち払おうと願う作者の思いをしっかりと感じさせる秀作である。

現代工芸本会員賞

かたく やわらかに

平戸 亜海【金属】

本作品は銅版を用いて鍛金技法で成形した、リクガメである。
硬い甲羅とやわらかい身体を感性豊かな技術力を持つ作者が金槌の技で表現している。この作品は鍛金の特長を最大限生かしながら亀特有の動きのおもしろさ、コミカルさを感じる優秀な作品である。

現代工芸本会員賞

遊 ~朝露~

増尾 典子【人形】

この作品は、現代の人形造形を問いかけ、美しく伸びやかな自由な造形の中に、長年習得された、胡粉技法にて加飾され、子供達の永遠な姿と、日本の季節感も感じさせる。工芸の人形としての品格と格調を重ねそなえた、清潔感ただよう作品である。

現代工芸本会員賞

風波

松永 明【陶磁】

日本海の荒波と吹き渡る風を表現している。
数枚の陶板の組み合わせで成型。焼成時、上部の厚さ調整で全体のしなり方が微妙に変化するという。ブルー系の釉薬の掛け具合で発色と流れ方をコントロール。 ダイナミックながら爽やかな形態へと昇華させた秀作である。

現代工芸本会員賞

褐丹洞かったんどう

村越 郁夫【陶磁】

陶土による手捻りの作品である。
土は、本来可塑性に優れた素材であるが、大作では乾燥の兼ねあいで時間制約が厳しくなる。氏はその中にあっても、作意を最大限に表現する技量を持つ。地球を形作る土の持つエネルギーと流動性に着眼し、自在な発想力でその特性を生命体のごとく昇華させた優作である。

現代工芸大賞

葦影

野田 怜眞【漆】

円環を基調とした明快な構成の中に、昆虫を想起させる有機的な造形が端正に配され、立体としての完成度が高い作品である。
漆芸の蒔絵、螺鈿は、単なる表面装飾にとどまらず、生命感と静かな華やぎを作品全体に与えている。
現代工芸大賞にふさわしい造形性と、漆芸ならではの質感表現がよく結びついた大作である。

現代工芸賞

真由子

黒沢 理菜【漆】

球体関節人形の形式を用いながら、少女の身体がいかに記号化され、鑑賞や消費の対象として扱われるかを静かに問いかける意欲作である。
装飾性の高い漆芸素材は、身体を美化するためではなく「見られる存在」としての危うさを浮かび上らせる装置として機能している。
固有名詞のタイトル「真由子」が個の存在を意識させ、静かながら強い物語性を宿した秀作である。

 

現代工芸賞

ROCKINGⅢ

小林 光男【金属】

鉄を鍛造技法で製作している。大地から伸び上がるような「生命の息吹き」のイメージを植物のしなやかな動きとして表現した。
本体は、細いフレームに乗せる形態をしており、少しの外力でも揺れる動きを楽しむことができる。金属、ガラス、石を組み合わせ、シンプルであるが、高いセンスと技術力を感じられる優れた作品である。

現代工芸賞

時紡ぎ

白山 弘子【人形】

「時紡ぎ」という壮大なテーマが、静かな外見の中に凝縮されている。透き通るような白磁の肌と高雅な服装の対比が美しく、人物を取り巻く金色の環は、過去から未来へと流れる悠久の時を象徴しているかのようだ。
伝統の技と現代的な感性が共鳴し、一瞬の静寂の中に永遠の広がりを感じさせる作品に仕上がった。

現代工芸賞

なんとなく気分は黄色

馬場 惠子【染】

「なんとなく気分は黄色」という題名が、人物の表現から素直に伝わってくる。型染の特徴を生かした明るい色調が印象的な作品である。目線の先は何を見つめているのであろうか。様々な事をイメージさせる。
アヤメを的確な描写で具象表現し、水紋の抽象的表現と構成することで不思議な空間を創出し、魅力的な作品となった。

現代工芸賞

open the window 3

早川 友加吏 【陶磁】

朝、目覚めて窓を開けると、さわやかな風がカーテンをゆらした。新しい一日が始まるワクワクした気持ちを「陶」の技術で具現化した。波を打ったいくつものヒダが、淡い色調のデザインと合いまって、清らかで気持ちの良い春風を感じさせる秀作である。

現代工芸賞

Within the Material. 素材の内側

林田 さなえ【ガラス】

大都会の高層ビルを彷彿させる形態の作品である。主題は光であり、黒いガラスは光を反射して力強く存在を意識させる。赤や透明のガラスから入射した光は、鏡のようになった黒いガラスに反射し、万華鏡のように内部に閉じこめられた。
ガラスのもつ魅力を最大限利用した、スタイリッシュで美しい秀作である。

現代工芸賞

白光結

牧野 美枝【織】

内省的な浄化と再生、循環という精神的な主題をコンセプトに作られた。織の重層的な編組技術を駆使して、精神世界を生き生きと象った。三次元的な重厚感のある造形にマットな質感で、イリュージョンの世界へと誘ってくれる様な作品である。

現代工芸賞

静謐

松ノ木 好恵【織】

この織の作品は、つづれ織の技法で制作されている。絹糸を使用して冬の夜空の薄暗い中にもしなやかで重厚なタペストリーの存在感をきわだたせた。冬の山々の白と、空にたなびく金色の雲の筋が夜空に美しい彩りと荘厳な祈りの心を感じさせている。
「静謐(せいひつ)」の題名から、静かな中に凛とした雰囲気と穏やかな情景を織の技術で見事に表現した。心に残る作品になった。

現代工芸賞

高層の風

室屋 政実【陶磁】

モダンな都会の風景を、吹きおろしの流れる風と華やかなビル群で構成した。
心理的なモノトーン表現で内的心因を投影させている。
たおやかで見る者を魅了する作品である。

現代工芸賞

IZAYOI

山口 真理子【ガラス】

十六夜は十五夜の翌日、月の出が数十分遅く昇ることからためらうの古語いざようを語源にしている。作者は、その一日分の月の欠片が光となって降りそそぎ恵みをもたらす物語を、ステンドグラスで光源を使わず美しい影が映る様に制作した。完全な円より少し欠けた月に美を求める日本の美意識も感じられる作品である。

現代工芸新人賞

暗闇のメリーゴーランド 

井澤 順子【パッチワーク】

暗闇に浮かび上がったメリーゴーランドを俯瞰の視点で構成した。
万華鏡を回転させるイメージのデザインを、高いパッチワークの技術で表現している。
モノトーンの色彩の中にかすかに輝く灯りの差し色が、静かだがあたたかい光をとどけてくれる秀作である。

現代工芸新人賞

恋文

髙橋 優子【ガラス】

着色ガラスを切り出し、感性溢れるヨーロッパスタイルの表現を用いた作品である。大胆に赤や朱を使い、流れる様な力強い線描写や爽やかな風に吹かれている情景が「恋文」という題名を付けた作者の豊かな心情を思わせる。細やかな表現構成がなされ、古典絵巻を明るく楽しく連想させる。表現力豊かな作者の今後に期待したい。

現代工芸新人賞

光、満ちてゆく

橋本 恵弥【ガラス】

カットされた板ガラスを紫外線硬化樹脂で接着・研磨し、各ピースを精緻に組み上げて一体の造形へと昇華させた作品である。
緻密な計算に基づき構築された、その姿は、作者の想像を超え、崇高なる象徴として具現化されている。ガラスの特性を極めた秀逸な成果である。

現代工芸新人賞

空間認識Ⅱ

横山 幸希【刺繍】

加賀繍という伝統技法を研鑽しながらも、新しい表現方法を模索している意欲作である。
平面作品ではない立体作品としての新しい刺繍を目指した本作は、まるで庭園を俯瞰している様だ。多様な色調の赤糸のみを黒地の上で展開し、より彩り豊かな世界観を現出させている秀作である。

現代工芸新人賞

狸奴の小躍り

羅 蒞蘊【漆】

作者は愛猫を「狸奴(りど)」と呼んだ。この名の由来は千年の時を超えた人と猫の温かい絆の呼び名である。技法は乾漆技法。蒔絵。螺鈿。特筆すべきは、貝を切って細分化し、一部には裏に金箔を貼っていること。曲面表現に長時間を費やし、尻尾は黒ロイロ仕上げで緊張感を高めている。猫と人との信頼の動作を表現した深い愛情を感じる作品である。

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